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トップページ > 活動史(20世紀) > 喜劇映画研究会 1993年 サイレント喜劇の絶頂期
喜劇映画研究会 1993年

サイレント喜劇の絶頂期

【期 間】1993年3月12日(金)~3月14日(日)
【場 所】イメージフォーラム・シネマテーク
【主 催】イメージフォーラム
【協 力】喜劇映画研究会

一般のお客様で、志村けん氏が来場。超満員札止めとなった。

《発明当初の喜劇映画は『セリフが再生できない』という技術的欠点から、視覚的情緒の豊かな寄席演芸の世界より、人材を発掘することが多かった。複雑な言語大系を持つヨーロッパでは、こうした理由からも卑近な大道芸人、パントマイマー、ヴォードヴィリアンらの映画界参入が常套化し、やがて彼らはメリエス等のトリック映画との接触、感化を経て独自成長を遂げた。第一次世界大戦とロシア革命によって、その御家芸は多くの移民とともにアメリカへ入植、そして'20年代、完全なかたちへと昇華する。今回上映の作品群は、その芸域の深層部に当たるもの。『The Lizzies of the Field』は、貧しく教養に乏しかった移民労務者から裕福なハリウッド財界人まで、さらにヨーロッパのシュールレアリストからも絶賛を受けていたマック・セネットの代表的一編、道化と不条理の真骨頂で、かの谷崎潤一郎までもが大ファンであったという。『The Bellhop』は、スラップスティックの臨界点=ノック・アバウト・コメディ(超ドタバタ)の典型、稲垣足穂が大ファンであったというラリー・シモンの監督・主演作。このコメディアンは、自らの作品にも見られるカタストロフィ、バンダリズムによって私生活までも破綻した人物。超弩級のアクションは絶句モノ! これらの非日常と不条理を売り物にしていたドタバタ喜劇を、当時から徹底的に否定していたのが、製作者ハル・ローチと、その朋友ハロルド・ロイドであった。彼ら二人は、夢、希望、喜び、悲しみといった日常性を緻密な計算と縦横無尽なカメラワークで再現。人間社会のスレ違いをネタに成功を収めた。本年はロイド生誕100周年にあたり、製作者ハル・ローチは昨年11月2日、百歳で大往生を遂げた。そんな歴史を鳥瞰する意味から、Aプロ『落胆無用』でドラマ性のプロトタイプ、Bプロでは習作期のドタバタ短編『The Cinema Director』との比較上映によって、『要心無用』の完熟度を御紹介しようと考えた。とりわけ『要心無用』はオリジナル完全版である故、70年を経た今日の再見によって、その完成度を改めて確認できよう。いずれの作品も古典、サイレントといった部分的偏見を忘れさせ達観してしまうだろう。それはトーキーと世界史によって圧殺された、遠い昔の、とんでもない文化だ!!》パンフレットより

上映作品

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