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トップページ > 活動史(21世紀) > 喜劇映画研究会 2006年 銀幕ランドスケープ
喜劇映画研究会 2006年

シネマアートン下北沢 喜劇映画研究会 結成30周年記念イベント
「銀幕ランドスケープ」

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日時:2006年9月2日~8日
   連日21時(終演予定22時半頃)
料金:3,300円(1ドリンク付き)
作品の問合せ:喜劇映画研究会
       infor@kigeki-eikenn.com
       TEL:03-5499-3919
企画の問合せ&予約受付:ビグトリィ
       bigtory@mba.ocn.ne.jp
       TEL:03-3419-6261
イベント案内ページはこちら!
上映協力:アテネ・フランセ文化センター

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チラシの上にポインタを置くと出演者のサインが表れます

当イベントの告知ページはこちら

 

当会が“無声映画へ伴奏ではない音楽で対抗”するというイベントを始めて既に14年が経つ。初回はチェロの三木黄太氏の工房を利用したクリスマス・パーティとして、谷川賢作氏、太田惠資氏のデュオで行われ、現在に至るまで多くの方々の協力を得て年に数回のイベントを不定期ながら開催してきたのだが、さすがに今回は当会にとっても“夢と冒険”の企画であった。これまで一ヶ月間続けての日替わりプログラム上映会を決行したことはあったものの、生演奏付き日替わりプログラム&日替わりミュージシャンの連続7日間バトルというイベントは未体験なので、当に結成30周年記念への天の授かりモノとばかりに希望と責務を抱いた。この仕掛け人は、ジャパニーズ・サブカルチャーの聖地・下北沢の首領=レディ・ジェーンのオーナー大木雄高氏!氏の企画と呼びかけ無くして実行し得なかった貴重なイベントである。(同時期の東京JAZZフェスティバル、東京国際映画祭と比べて規模こそ小さいながらも、内容と密度では勝っていたと評価されていた!)

会場のシネマアートンは、サブカルチャーの玄関口と呼ばれる下北沢スズナリ横丁の“正面玄関”に位置する。劇場は昭和30年代の高度成長期に建てられたアパートを改築したもので、ポップでアットホームながらも最新設備に警護された場内は観客がゆったり見ることを前提としており、当イベントの出演者もライブハウスやコンサートとは一味違うリラックスした演奏だったとご満悦の様子。

イベント決行に際しての当会なりの誠意(冒険)では、弁士作品以外にはすべて日本語字幕を入れた事であった(現代モノの字幕も大変だとは思うが、100年近く前の古典映画は時代背景や日用品が現在と違うのでそれなりに大変であった・・・。ハル・ローチ作品は特にウィットに富んで字幕のダジャレなどが多く難しかった)。字幕はニュアンスまで丁寧に翻訳すると場面の秒数と合わなくなるので、作詩と同じ要領で楽ではないものの当時の映画人の知性の高さに感嘆し、さらに尊敬を深めることができたのは幸いであった。

 

出演者一覧

各夜をクリックするとそれぞれのレポートに移動します。

第一夜 9月2日(土)
ロケット・マツ(キーボード) vs. 石川浩司(弁士/パーカッション)
第二夜 9月3日(日)
常味裕司(ウード) vs. 吉見征樹(タブラ)
第三夜 9月4日(月)
喜多直毅(ヴァイオリン) vs. 佐藤芳明(アコーディオン)
第四夜 9月5日(火)
上野洋子(ヴォーカル) vs. 棚谷祐一(キーボード)
第五夜 9月6日(水)
太田惠資(ヴァイオリン) vs. 黒田京子(キーボード)
第六夜 9月7日(木)
おおたか静流 (ヴォーカル)vs. 鬼怒無月(ギター)
第七夜 9月8日(金)
谷川賢作(キーボード) vs. HISASHI(ヴォーカル)

 

第一夜  9月2日(土)

ロケット・マツ(キーボード) vs. 石川浩司(弁士/パーカッション)

軽妙パントマイムと超絶ピアノと豪放弁士が炸裂!

上映作品
 「整形夫婦」Mighty like a moose 1926年(アメリカ)
  監督:レオ・マッケリー、監修:F・リチャード・ジョーンズ、
  出演:チャーリー・チェイス
 「無理矢理ロッキー破り」Play safe 1927年(アメリカ)
  ※喜劇映画研究会復刻版
  監督:ジョゼフ・ヘナベリー、出演:モンティ・バンクス
 「なかなか冴えてる」Crazy like a fox  1926年(アメリカ)
  監督:レオ・マッケリー、出演:チャーリー・チェイス

本日はかねてより宣伝していた「銀幕ランドスケープ」の初日!

最初に大木氏より企画を伺った時には無茶なハナシじゃないかと正直思ったが、開催決定後は準備に追われて気づくと初日になっていた。 劇場の規定上映(月間プログラム)が終わった後に我々がセッティング開始となるのだが、この当日の規定上映はロードショー最終日のために監督と出演者のトークショーが行われていたので準備時間は30分以内!機材ケースやケーブルが宙を舞ったり、音合わせをしたり、スタッフ、出演者ともどもドタバタ。何とか開場5分前にセッティングが完了。 本日の出演者はロケット・マツ氏と石川浩司氏。本年の「夢の森にて2006」でお世話になった方々。

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▲ロケット・マツ氏

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▲石川浩司氏


軽く音合わせの後はすぐに会場、開幕となった。事前の打ち合わせは殆どしてないはずなのに、パスカルズの中心メンバーとして一緒に行動しているので息はピッタリ!(パスカルズはこの本番直前まで約2ヶ月のヨーロッパ・ツアーを敢行していた) マツ氏のチャーミングで不思議な旋律に石川氏のオモチャ楽器の合いの手、映像と一体化した柔軟性に富んだ活弁、豪快なパフォーマンスに観客は釘付けとなった。

激しい弁士パフォーマンスを行う石川氏の呼吸を整えるために幕間はマツ氏主導の軽いトークを行う筈だったのだが、石川氏はエンターテイナーの血が騒いでしまったのか?ついついお喋り。休憩のはずが、トーキング・パフォーマンス決戦となってしまった。

そして石川氏入魂の弁士パフォーマンスが再びスロットル全開。マツ氏の音色は相性ピッタリで心地良い空間を創出していた。

会場は恒例イベント「夢の森にて」のアテネ・フランセと比べて3分の1の面積なので、観客との距離もグッと近くなりグルーヴ感抜群、非常に贅沢なイベントと主催者サイドながら改めて実感した。

初日を素晴らしく飾ってくださったお二人に感謝!

第二夜  9月3日(日)

常味裕司(ウード) vs. 吉見征樹(タブラ)

帝政ロシアから共産主義国家の変革に戯弄されたグータラ亭主の奮闘記!
  民族楽器の奏でる音色でスタミナ倍増!!

上映作品
 「幸福」СЧАСТЪЕ 1934年(旧ソビエト) 
 ※アテネ・フランセ文化センターより
  監督・脚本:アレクサンドル・メドヴェトキン、
  出演:ピョートル・ジノヴィエフ


本年4月にアテネ・フランセの「喜劇の黄金週間」で同作品をソロ伴奏して頂いたウード常味氏と、過去6回の当会イベントでのインプロ弁士の腕(声?)を高く評価されるタブラ吉見氏の二日目。

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▲常味裕司氏

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▲吉見征樹氏


今回は67分の長編作品のため、さすがに喋ることも無いだろうと思っていたが、そこは吉見氏、大方の予想を裏切りオープニングからフル・スロットル!全編ひたすら背骨反射の直感勝負で弁士に徹し、開演数分後で「いよいよ盛り上がってきました!」と叫び場内を自己のペースに巻き込んでの頭脳プレイ。インプロ活弁ながらも映画のコンセプトを精査しているのがビックリ!ただし喋りに熱中するあまりタブラ演奏を忘れて「いかんいかん」と言いながらタブラを時折叩く姿で場内大爆笑。日本最高峰のウード奏者・常味氏はアラブ音楽の変拍子で巧みに映画を盛り上げる。連続活劇のような展開でイキナリ10分ほどの休憩を入れて後半も一気に駆け抜ける。

終演間近、暗闇の場内にストロボの閃光が!誰が写真を撮ったんだ!と思いきや、常味氏が一眼レフのカメラを構えて熱演中の吉見氏をステージから撮影を行うというパフォーマンス(?)を披露、「人が一生懸命に喋っとんのにアンタ、ナニ写真撮っととるん?」のセリフでまたまた場内大爆笑となった。

実はこの「幸福」という作品、字幕はあるものの、初見では理解が追いつかない部分もある。(製作当時の検閲によりかなりの部分を削除されているために、その影響も大いにあるのかもしれない。)そこを吉見氏は見事にフォローしており、作品の優秀なホスト役も勤めて頂いたことを加えておく。素晴らしい演奏と比類無き弁士に感謝。

 

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