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トップページ > 活動史(21世紀) > 喜劇映画研究会 2006年 銀幕ランドスケープ 第三夜~五夜
喜劇映画研究会 2006年

シネマアートン下北沢 喜劇映画研究会 結成30周年記念イベント
「銀幕ランドスケープ」第三夜~五夜

第三夜  9月4日(月)

喜多直毅(ヴァイオリン) vs. 佐藤芳明(アコーディオン)

刹那の脆さが、鉄壁なギター&アコーディオン演奏で歴史的一瞬に様変わり!?

上映作品
「ビッグ・ビジネス」Big business 1929年(アメリカ) 
  ※ニューヨーク近代美術館より
  製作:ハル・ローチ、監督:ジェイムズ・ホーン、
  監修:レオ・マッケリー、
  出演:スタン・ローレル&オリバー・ハーディ
「ベニスにおけるベビーカー競争」
  Kid auto races at Venice 1914年(アメリカ)

  製作:マック・セネット、監督:ヘンリー・パテ・レアマン、
  出演:チャーリー・チャップリン
「リバティ」Liberty 1929年(アメリカ)
  製作:ハル・ローチ、監督:レオ・マッケリー、
  撮影:ジョージ・スティーブンス、
  出演:スタン・ローレル&オリバー・ハーディ

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▲喜多直毅氏

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▲佐藤芳明氏


当会のイベント初登場(無声映画の伴奏も初体験)の佐藤氏と喜多氏。どんな展開になるのか?スタッフもワクワクである。しかし当日、佐藤氏は頸筋から背筋までを痛めてサロンパスだらけで演奏を行うこととなってしまった。喜多氏は霊が憑依したと騒ぐのだが、除霊ができる人材もいないため、スタッフはせめてサロンパスが除霊に優りますようにとそっと祈祷する。喜多氏もお神酒(?)を浴びるように飲んでいた・・・迎い酒というウワサも・・・。

やがて開幕、出演者二人はお客さまと一緒に3分のオープニング映像を鑑賞というパフォーマンス(?)からスタート。この3分間、喜多氏は何故か客席に座ってくつろぎ、佐藤氏はステージの端で立ち尽くす。見てる観客は演奏の開始を心待ちにしていたのだが、3分間演奏は無く、両者は感想を述べるのみだった。演奏者が音の無い世界をアピールしてからスタートというのも粋な試みと思わせつつ、次の作品から喜多氏主導で徐々に映像へ音を刻み込む。喜多氏の破壊力の漲る鋭いリズムに佐藤氏の重厚ながらも快調なアコーディオンのメロディが世界観を広げ観客を魅了。瞬発力にかけては流石である。

また、幕間のお二方による映画トークが会場を沸かせた。喜多氏は俳優の経験があることを佐藤氏に暴露されて、事あるごとに「俳優もやっているヴァイオリニスト喜多直毅です」と紹介され、恥ずかしがる様子も反復漫才のように客席を湧かしていた。やがて時間は駆け足となり、あっという間にラストの「リバティ」となった。願わくばもう少し演奏も聴きたかったような。

第四夜  9月5日(火)

上野洋子(ヴォーカル) vs. 棚谷祐一(キーボード)

ポップなサイレント映画をパステル調の音色でヴァージョン・アップ

上映作品
「敵もサル者」Be honest  1924年(アメリカ)
  製作:ハル・ローチ、監督:レン・パワーズ、
  出演:猿、犬、ロバ、アヒル
「突貫ガラクタ列車」The Sun Down Limited1924年 (アメリカ)
  製作・脚本:ハル・ローチ、監督:ロバート・F・マクガワン、
  出演:ちびっ子ギャング
「マイホーム」One week 1920年(アメリカ)
  監督:バスター・キートン、エディ・クライン、
  出演:バスター・キートン


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▲上野洋子女史

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▲棚谷祐一氏


当会イベント初参加(無声映画の演奏は初体験)のお二人、上野女史と棚谷氏が出演。スタッフもちょっと緊張気味だったが、お二人のテキパキとした指示で気づくと準備は早々と終了。無事に開場となった。

今までの出演者とアプローチがかなり異なり、メローでゆったりとした美しい旋律のピアノにクリスタルのごとく輝くヴォイスが空気感を際立たせる。ハンドベルを駆使した演奏は他の日にはない世界観。ヒーリング風でもあり、澄んで凛とした波動が会場を満たし、観客は気づくと摩訶不思議な世界へ気持ち良く取り込まれていた。大海の中を漂いながらドタバタコメディを見ているような、状況的にあり得ない雰囲気が心地良く、今まで体験したことの無い"生演奏&パフォーマンス付き上映会"。最後まで夢の中だった。上映が終了、余韻が残る中、観客は開場を後にした。

余談ながら、この日にご来場の柳下美恵さん(無声映画のピアノ伴奏者)が棚谷氏と同級生であった事がわかり、ウン十年ぶりの再会と相成った。

第五夜  9月6日(水)

太田惠資(ヴァイオリン) vs. 黒田京子(キーボード)

フル・スロットル喜劇に音符のエネルギーが核融合!無限メロディのラビリンス!

上映作品
「ノートルダムの仲立ち男」
  The halfback of Notre Dame 1924年(アメリカ)

  製作:マック・セネット、監督:デル・ロード、
  出演:ハリー・グリボン、ジャック・クーパー
「専売特許」It's a gift 1923年(アメリカ)
  製作:ハル・ローチ、
  監督:チャールズ・パロット(=チャーリー・チェイス)、
  主演:スナッブ・ポラード
「ザ・ハイ・サイン」The high sign 1921年(アメリカ) 
  ※喜劇映画研究会復刻版
  監督:バスター・キートン、エディ・クライン、
  出演:バスター・キートン

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▲黒田京子女史

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▲太田惠資氏


本年5月にレディ・ジェーンでの当会イベントに参加してくれた太田&黒田コンビが再登場!前回も素晴らしい演奏で皆を魅了したお二人には開演前からも期待大! この日はいつも遅刻気味の太田氏が予定通りに登場、打ち合わせもスムーズに進んだ。太田氏が時間通りに到着したことでスタッフは成功を確信する!?

音楽先行で上映がスタート。二人のディープなインプロ演奏の後、ポップな曲に乗せオープニング映像が始まるというスマートな展開。ドタバタ喜劇の映像に骨太で鋭いメロディ感の演奏が絶妙にブレンド。太田氏がこの企画で一番マトモな展開というだけあって、見事なバランス感覚の構成。クールでオシャレな展開に思わずため息が漏れる。しかも、二人の映画に対する真摯な気持ちもひしひしと伝わってくる奥深い演奏に心が洗われる。笑いながら感動できるという素敵な一夜となった。

 

 

 

 

 

 

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