26. チャップリンの指貫、ペーパーウエイト
27. マルクス兄弟のフィギュア
28. 9.5mm手廻し映写機
29. アメリカのコメディアン切手
30. 「無理矢理ロッキー破り」16mmプリント
31. 「デブ君の女装」16mmプリント
32. 「臨時雇いの娘」16mmプリント
33. 井村隆・作「カチンコ」
34. 緒川たまき・作「ベン・ターピンのTシャツ」
35. 黒木夏美・作「くるみボタンとキートン帽」
36. 新野敏也・作「キーストンの肖像画」
37. 川勝正幸・編・著「ビデオ・ショップ午前2時」直筆サイン入り
38. のらくろリトファニー・ティーカップ
26. チャップリンの指貫、ペーパーウエイト
指貫は現代のものでイギリス製、おそらく実用品ではなくフェーブ同様に近年のコレクターズ・アイテムとして作られたものであろう。ペーパーウエイトはブリティッシュ・フィルム・インスティテュートの土産物で、チャップリンの20ペンス切手が裏から貼られているガラス製品。こちらも実用では剥落が考えられるのでディスプレイ品としている。
27. マルクス兄弟のフィギュア
1992年よりアメリカで製造されたグルーチョ、ハーポ、チコのフィギュア。現在は絶版品。当会代表の新野敏也の友人が新婚旅行でアメリカへ行った際のお土産。新野は職場の人事異動で別の場所へ転任となった際、まだ自分のデスクも知らなかったところ、その友人(まったくの別会社)が前もってこっそり来社して新野のデスクを調べ、引き出しの中へサプライズで隠していたという(ビックリした新野はその後も友人への結婚祝いを忘れたままらしい…)いかにもマルクス喜劇のような来歴を持つ人形。
28. 9.5mm手廻し映写機
1920年代にフランスのパテ社がホーム・ユースで開発した小型映画機器とフィルム。パテ・ベビー、パテ・キードといったバリエーションがあるようで、日本でも1924年から富裕層に普及していた。当会は大正末期に豪商だった人物のご遺族より大量の映画(今日的にいえばDVDや輸入ビデオのようなソフト)をご寄贈頂き、慌てて調査用に映写機を探し出した。当時の映画ソフトは正式に製作会社が劇場用プリントと同等のネガ使用で製造販売している場合が多く、フィルムの画質は百年近い期間を経た状態でも今の駅前ワゴン・セールで売られている古典洋画の海賊版DVDと比べ物にならないくらい鮮明である。当会が購入した映写機は1930年代製造と思われる廉価版のパテ・キード。フィルムは不燃性であった。
29. アメリカのコメディアン切手
1994年にアメリカの郵便局で限定発売の"LEGEND OF THE SILENT SCREEN"という切手には、チャーリー・チャップリン、バスター・キートン、ハロルド・ロイド、キーストン警官隊のイラストが刷られていた。額面29セントの切手20枚1組(ルドルフ・ヴァレンチノ、クララ・ボウ、セダ・バラ、ロン・チャニー、ジョン・ギルバートと組まれている)がハードカバーの大きな解説書(30.5cm角の正方形)とセットの場合は24ドル95セントで売られていた。切手シートは現在もネット・オークションでたまに見かけるが、なぜか解説書は発売当時から入手困難だった。
30. 「無理矢理ロッキー破り」16mmプリント
モンティ・バンクス主演の無声映画時代を代表する傑作。しかしながら本作は記録によれば現在の秒速24コマ映写でも60分くらいの作品とされているがオリジナル全長版は現存しない。淀川長治、色川武大、筒井康隆の三巨頭氏が幼年期に見て最も鮮烈な思い出を持つ映画といい、筒井氏は「不良少年の映画史」(1979年・ 文春文庫)で丸々1章を本作の紹介としている。その幻の映画を当会代表・新野敏也が1996年の当会結成20周年記念事業として復刻したもの。復刻にあたり映画評論家の児玉数夫氏に初公開時のプレスシートからオリジナル・ストーリーを探し出して頂き、アメリカの私設映画資料館EM GEEに眠っていたクライマックスの一部(35mmネガ)と、アルゼンチンの映画コレクター、エンリケ・ブッシャールが所有するドラマ部分(戦前のパテ・ベビーという9.5mm幅フィルムの映画ソフト)を16mmに焼き直し再構成、タイトル部分の修復はアニメ制作会社の岡崎英夫氏にご協力頂いた。現在では世界唯一のロング・ヴァージョン(24コマ映写で約22分)となる。余談であるが、1961年にロバート・ヤングソンが監修した無声映画時代の喜劇のベスト・ アンソロジー"Days of Thrills and Laughter"の日本公開に先立って行なわれた試写で、本作クライマックス部分を観た山田宏一氏と和田誠氏が思わず「シネ・ブラボー!」と叫んだために、このアンソロジー映画の邦題がそのまま「シネ・ブラボー!」となってしまった…なんてウソ臭い逸話もある。
31. 「デブ君の女装」16mmプリント
無声映画時代のスーパースター、ロスコー・アーバックルが主演、バスター・キートンが映画デビューした短編。「無理矢理ロッキー破り」と共に新野敏也が復刻した完全版。修復方法とフィルムの入手先は同じ。先行して1980年代より世界各国で上映されていたヴァージョン(レイモンド・ローハーワーの資本により映画研究家ケヴィン・ブラウンロウの監修で復刻された)よりもカット数が多くシ-ンも長い事から完全復刻版を謳っていたが、2000年頃にオランダで発掘されたプリントの修復により当会ヴァージョンの自慢は薄らいでしまった。尚、オランダでの新規復刻ヴァージョンとは字幕(スポークン・タイトル)が若干違っている。オランダ版の字幕はビデオ修復がなされているため、当会版とどちらが初公開時の字幕かは正否不明。尚、当会ヴァージョンの修復過程で露見した数々のエピソードが洋々社より刊行の「シネティック3号」に掲載されている。
32. 「臨時雇いの娘」16mmプリント
映画史上初のコメディエンヌにして悲劇的な最期を遂げた大女優メーベル・ノーマンド主演の長編喜劇。これは新野敏也が1997年に復刻した現存する世界唯一の全長版で、先に復刻した「無理矢理ロッキー破り」「デブ君の女装」とは修復方法が異なり、欠落部分(破損していたカット)をデジタル処理で補修した後、国内にて35mmネガ作成からプリントし直したもの。現在主流の古典映画修復技術を「日本で最初に実践した」「誰よりも先に私費でやったンだからエライだろう」と新野は嘯いている。
33. 井村隆・作「カチンコ」
バンダイ本社にある不死鳥のオブジェ、ジブリ美術館のシーラカンス型の壁掛け時計、大阪府堺の市役所のモニュメントなどで知られる立体造形作家・井村隆氏が作ったクラップ・ボード(日本ではカチンコが一般的な名称)。そのむかし井村氏は映画を製作しようとカチンコも自作したが映画は作らなかったそうで、これが当会代表の新野敏也に譲られた。井村氏の作品(カラクリンと呼ばれる)と無声映画時代の喜劇におけるガジェット感がマッチングした事から新野へ贈られたようだ。井村氏のアート「カラクリン」とは機械仕掛けの金属製オブジェで素材の地色そのままのモノトーンが特徴的であるが、この「カチンコ」は木製で実にポップな彩色仕上げ。
34. 緒川たまき・作「ベン・ターピンのTシャツ」
当会の初代会長ケラリーノ・サンドロヴィッチの奥様で女優の緒川たまきさんより新野敏也へ贈られた手作りTシャツ。珍優奇優がひしめく映画界の中でもそのレジェンド的存在のベン・ターピンをモチーフに選んだセンスは秀逸。ポップな感性が輝く傑作。
35. 黒木夏美・作「くるみボタンとキートン帽」
「バナナの皮はなぜすべるのか?」の著者・黒木夏美さんより当会へお贈り頂いた2011年のクリスマス・プレゼント。ウェブ・サイト「本の中のキートン」 管理者でもある黒木さんが愛情の滲む手芸で、キートン海外イラストとミニチュア帽子、ご自身の著書より扉ページのイラストを、そして当会の製作物でお馴染みキャラクター「謎の吟遊詩人ヨハン」と略称「喜研会」を創作して下さいました。
36. 新野敏也・作「キーストンの肖像画」
これまで紹介した所蔵品より格段に劣るかもしれない…当会代表が1980年にノートの端やメモ用紙などへ落書きしたコメディアンの似顔絵。ロスコー・アーバックル、スリム・サマーヴィル、フォード・スターリング、ハンク・マン、チェスター・コンクリンといったキーストン撮影所の主役たちをちょこまかと鉛筆で描いたもの。それらを集めて女子学生が家庭科の授業で刺繍を飾る際に使っていた額縁の余り物へ入れたらしい。幼年期に画家を志した新野は両親によって絵を含む全ての私物が廃棄されているため、これが現存する最も古い絵となり、当会本部ではわざわざ人目につくよう展示されている…。
37. 川勝正幸・編・著「ビデオ・ショップ午前2時」直筆サイン入り
2012年1月31日に急逝した川勝正幸さんを偲んで、まだこの宝物殿で紹介するには新しい書籍であるも、大切な永遠の想い出として掲げさせて頂く。これは本書の出版と『川勝プロダクション』設立のダブル記念パーティにてサインを頂戴したもの。共同執筆は緒川たまきさん、掟ポルシェさん、小野瀬雅生さん、滝本誠さん、ミルクマン斉藤さん、安田謙一さん。川勝さんは当会の初代代表ケラリーノ・サンドロヴィッチをアマチュア・バンド時代から支援しており、ナイロン100℃の演劇「SLAPSTICKS」再演では劇場用パンフレットを企画制作され、ケラリーノ・サンドロヴィッチと現・代表の新野敏也の対談(記事)では司会進行(編集)も担当された。いずれも川勝さんの茶目っ気タップリで博学広才なワルおやぢテイストが満載!
38. のらくろリトファニー・ティーカップ
リトファニーとは磁器表面や底部の微かな凹凸を光の加減により鮮やかな模様として浮かび上がらせる、紙幣の透かしと同じ技法。映像の原点という解釈からヴェルナー・ケネス監督の「フィルム・ビフォー・フィルム」でも紹介されている。本品はその「フィルム・ビフォー・フィルム」の中で紹介されているカップと同仕様の、本来ならばビクトリア朝のイギリスなどへ輸出されていた日本の工芸品であるが、カップ表面の絵付けが「少年倶楽部」昭和10年7月号附録の「のらくろ相撲四十八手」とほぼ同じため、1935年頃の製造と推測される。大正から昭和初期の浪漫が感じられる華奢な造形で、底部を光にかざすと芸者(女優?)の顔が浮かび上がる。これは当会代表の新野が「のらくろ」の古書を入手した際に前オーナーが好意でオマケにつけてくれたもの。
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